「007 慰めの報酬」(007 Quantum of Solace)

2008年/イギリス・アメリカ/スコープサイズ/106分
マーク・フォースター(Mark Forster)監督
2009年3月7日(土) 丸の内ルーブル


1年半に1度くらい、アメリカ映画にひっかかる。子供の頃の、あこがれのアメリカを思い出させるようで。
滅びゆくパックス・アメリカーナを憂いつつ、古き良き時代を懐かしむ、という情感が感じられるから、とか。
今回は、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」。
しかし、確認したタイムテーブルは3月6日までのもので、18:40の回を見ようと思って18:30前に有楽町に到着。
3月7日以降の最終回は18:00ということで、すんなり諦める。
次の候補だったキム・ギドクの「悲夢」は有楽町近辺ではやっていない。
ぴあをめくっていると、「007 慰めの報酬」にひっかかる。同じ建物で、18:45から。
007というと、ショーン・コネリーのイメージが刷り込まれているようで、ついつい反応してしまうのか。
この作品自体の注目点は、
- ダニエル・クレイグのボンドはそんなに悪くないかも
- シリーズ最高の興行収入
- マチュー・アマルリックが出演している
というわけで、見ることに。


実は、劇場で007を見るのは初めて。
007の原型はやはりコネリーが作り上げたキャラクター、とはいえ、演じる俳優によって変わる。
コネリーにしても、ただ最初に演じただけの話ですか。
ダニエル・クレイグのボンドに見られた典型的なキャラクター様式としては、どんな状況化でも、アクションが起こらなければ、常に平然としている、というところ。身だしなみが崩れなければなおよかったけど、あんだけアクションが激しいと仕方ない。
ダニエル・クレイグ演じるボンドの大きな特徴は、頭で考えるよりも体の反応が速い。
「RENAISSANCE」という2006年のフランス製白黒アニメで、主人公カラスの声を担当したのがダニエル・クレイグだが、このキャラクターと被る。


内容的には、面白かったのは序盤。
冒頭のカーチェイスと、MI6内偵者の追跡。
どちらも、最後は敵の意表をつくタイミングでの発砲、というのがボンドらしい。
終盤、砂漠の中の巨大な建物が破壊されてしまうのが、一応クライマックスだが、ここはそうでもない。
マチュー・アマルリックダニエル・クレイグと格闘するのは無理がある。
破壊される建物の中にボンドが身をおくというのはどうかと。
黒幕とのやり取りは息詰る心理戦、最後はボンドのスナイパーとしての腕がモノをいう、という感じですか。
時代劇の勧善懲悪っぽく。