「THE CODE/暗号」

2008年/日本/THE CODEプロジェクト/124分
林海象監督
2009年5月9日(土) シネリーブル池袋


テアトルタイムズスクエアで拡大公開されているエウレカセブンがかなり混んでいるようなので、別の作品を探していたらふと目にとまる。初日だけど、人はこちらに流れてこなそう。キャスティングが渋過ぎ。
それにしても初日、の最終回とはいえ、10人いなかったかも。


林海象という名前は10年以上前から知っていたのに、作品を見るのは初めて。あまり関わっていないらしいけど、「私立探偵 濱マイク」のTVシリーズを見たくらい。
何の根拠もないけれど、原一男監督に近い印象をもっていた。Wikipediaによると、その作品は探偵ものが多いらしいけど、「ZIPANG」とか「CAT'S EYE」を撮っていたとは驚き。


この作品は、「探偵事務所5」シリーズの劇場版3作目。「探偵事務所5」はほとんど知らなかったけど、パンフレットによれば、すでに50作品ほど制作されていて、ネットを主な配信媒体とし、結構な人気シリーズだとか(なのにこの入りですか)。


内容的には、ちょっと007を思い起こさせるような、凝ったストーリー。腕利きのスナイパーの松方弘樹の立ち回りは見事だし、宍戸錠が「エースのジョー」を名乗ったり、主人公507が駆使する探偵7つ道具の活躍とか、グッときてしまう。何といってもテーマは謎の暗号だし、1960年代に特撮ものに親しんだ人にはたまらないだろう。しかしカメラワークや演出は控えめ。車内からとらえた上海の道路を移動するショットなどは、とても乾いた空気感を漂わせている。507を演じた尾上菊之助ははまり役だったけど、もう少し特異なキャラクターだったら、よかったのかどうか。


稲森いずみ演じる妖艶な謎の女とのくだりは、探偵ものにまつわるワクワク感とは別に、往年のアメリカ映画的な大人のラブストーリーのように綴られる。
「抱いて」
「私を抱いて」
「本当に私を抱いて」
「あなたに抱かれないと私、あなたの愛情を感じられないわ」
と4回も畳み掛け、名台詞で落とす演出は見事。
インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」がすでに何かのオマージュになっていることしか知りませんが、彼女の登場シーンは、やはりエニシング・ゴーズを思い出します。


劇映画に必要な要素を一通りそろえ、意外性もなく、ベタな展開なんだけど、小技を効かせて、冷めた視線で対象を見据える手腕に酔いしれることができます。